空想の戦場
和史 宮沢
アスファルトをむしり剥がす
キャタピラの轍
女達は赤児を捨て 空爆に見とれる
空想の戦場では
ねずみ色の血が流れる
子供達はブラウン管で 殺戮を覚え
大人達をアウシュビッツヘと
閉じ込め始める
神を名乗った男は
窓のない部屋で神に祈る
空想の戦場では 誰もが平和を願い
敗者のいない争いに
明け暮れてるだけ
煽動者は 敵も告げず
「戦え」と叫び
流行歌は 術も言わず
「立ち上がれ」と言う
飲みつぶれた戦士の日々は
リモコンで幕を降ろす
空想の戦場では
誰もが権利を武器に
正義が消えた裁判を
繰り返してるだけ
空想の戦場では 誰もが徴兵を逃れ
勝者のいない争いに
酔いどれてるだけ
君の枕もとから 2000kmの国では
今夜もミサイルの届け先を
捜し求める
空想の戦場では 誰もが平和を願い
敗者のいない争いに
明け暮れてるだけ
空想の戦場では 誰もが徴兵を逃れ
勝者のいない争いに
酔いどれてるだけ
勝者のいない争いに
酔いどれてるだけ
酔いどれてるだけ
アスファルトがいつものように
町をつないでる