誘惑のエチュード
Daichi Kakinuma, Neggy Yutaka
淡い闇まだ湿る手
冷めた距離
甘い海から
打ち揚げられた夜に
枯れる彼を目の前に
萎れし花去り際に
目尻決して
永久の別れを告げる
なにか妙だなんて
月去りし後を思うと
無下に吐いてそうな
濡れる垂れ髪がただならぬ
桃源郷は幻想と
ささやく時代に
願わくば天使の
口づけを
乾き切った亡骸に
群がるハゲワシと
澱んだ空気帯びる
倍速の街で
目の前の灯台にすら
誰も気付かぬフリをして
異星人は独り
よって来たる場所へ飛び立つ
枯れる前に
水をくれないか
誘い文句一つ
身体よじり私は
感情がただならぬ
桃源郷は幻想さ
息づく時代に
願わくは望月の
花の下で
深い海を駆けながら
微かに聞こえた声遠く
気付いてるでしょ
ねぇもう充分でしょう
こんなにも傷つけあう事で
何が生まれるの
何を満たせるの
時代は何処か遠くへ