落陽
Osami Okamoto, Takuro Yoshida
しぼったばかりの夕陽の赤が
水平線からもれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
あのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよ
おまけにテープを拾ってね
女の子みたいにさ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
またふり出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく
女や酒よりサイコロ好きで
すってんてんのあのじいさん
あんたこそが正直者さ
この国ときたら
賭けるものなどないさ
だからこうして漂うだけ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
またふり出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく
サイコロころがし あり金なくし
フーテン暮らしのあのじいさん
どこかで会おう 生きていてくれ
ろくでなしの男たち
身を持ちくずしちまった
男の話をきかせてよ
サイコロころがして
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
またふり出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく