Hokku
あたたかに
冬の陽の
寒き哉
見し夢の
さめても色の
燕子花
忘れ草は
避けど忘れぬ
昔かな
青柳の
眉かく岸の
額かな
秋風に
折れて悲しき
桑の杖
なでしこの
なぜ折たぞよ
おれたぞよ
染かねて
片山紅葉
かたおもひ
苦の娑婆や
花が開けば
ひらくとて
麦の穂を
力につかむ
別れ哉
蕣や
是も又我が
友ならず
牡丹散って
心もおかず
別れけり
物事に
老いは心の
後も無し
落書に
恋しき君が
名もありて
数ならぬ
身とな思ひそ
玉祭
旅に病で
夢は枯野を
かけ廻る
草臥れて
宿借るころや
藤の花
我と来て
あそべよおやの
ない雀
こいこいと
いえどほたるが
飛んでゆく
こちらむけ
我も寂しき
秋の暮
うき我を
さびしがらせよ
閑古鳥
そのあとは
途できかん
郭公
行く年や
親に白髪を
かくしけり 越人
いなづまや
きのふは東
けふは西
時雨るや
我も古人の
夜に似たる
そこもとは涼しそうなり峰の松
死にもせぬ
旅寝の果てよ
秋の暮