黒猫(Kuroneko)
田島貴男 (Takao Tajima)
ああ 三日月も汗ばむような熱帯夜に
絹のようになめらかな暗闇に
身をつつんだ黒猫 眼を光らせて
夜の屋根をつたって君にしのびこむよ
胸のとびら真夜中にひらかれて
闇のむこう遠く耳を傾ける
鳥が羽ばたき去った後の静けさのよう
夏の闇にひろがる音のないノクターン
夜のはざまに生まれるいくつもの夢
ほどけてく花のつぼみ
ルビーのような露のせて
夜明けを待つよ
[Instrumental Bridge]
夜のはざまに生まれるいくつもの夢
夜の吐息と呟き
育つ いくつもの明日
夜明けを待つよ
ああ 三日月も氷るような夜明け前
絹のようになめらかな暗闇に
身を包んだ黒猫
君のそばを離れて
夜明けの屋根をつたい
醒めそうな夢の中
ひとつずつ消えてゆく
遠い星屑になり
姿を消したのさ