哀愁のGIジョー
積み上げられたダンボールが なんか他人事みたい
バスルームの鏡の前に GI ジョーのフィギュア
ふたりでここに引っ越して来た頃
そうじをしてもしても流れない
バスタブの奥を覗いたら
排水溝からしかめつらの GI ジョーが出てきた
「どうりで流れなかったわけだ 守りは堅かった」
まじめに言う顔が可笑しくて 笑ったその日から
ふたりが愛し合った昼も夜も
けんかをしてもしても抱き合った
朝も話してない最近も
わたしがひとりになった午後も 小さな人形が見ていた
「ふたりのもの」が思ったよりあって
思い出ひとつひとつ分けるのが
いちばん大変で悲しいパート
だからさびしそうな ジョー あなたも ふたつには裂けない
じゃあね お別れね ジョー あなたを連れて行けなくてごめんね
Bye Joe, bye Joe, bye Joe