羊飼いの旅
あの空の真ん中辺り
爪の跡みたいな
三日月が取り残されて
白みながら夜が明けてく
いつか この場所から
動くべき時が来るよ
朝露と思い出は
永遠のものじゃなくて
過ぎてく季節の恵み
羊飼いは 旅を始める
誰にも告げぬまま
山から山へ 歩き始める
なだらかな斜面
静かに吹く 風と光 鈴を鳴らして
どこにある? 明日は
どこにある? 未来は
雨の日も嵐の日にも
真っ直ぐに前を向き
まだ遠い山の嶺を
目指しながら 群れは進むよ
平坦な道など
どこにもないと知ってる
少量の岩塩と
家族への愛だけが
自分を奮い立たせる
羊飼いは 語りはしない
夢では食べられない
生きてくために 歩き続ける
先祖からの山
同じ土に宿る想い 尊い命
届けたい 神へ
届けたい 祈り
風の中 口ずさむのは
遊牧の愛の唄
山々に木霊するのは
しあわせなこの旅の
ゆっくりした時の流れ
羊飼いは 生まれた日から
心を歩き出す
羊飼いは 旅を始める
誰にも告げぬまま
山から山へ 歩き始める
なだらかな斜面
静かに吹く 風と光 鈴を鳴らして
どこにある? 明日は
どこにある? 未来は