あの頃
MEGUMI
とてもとても久しぶりに
この駅に降り立ってみた
あの頃よく通っていた
あの店にちょっと立ち寄ってみよう
特別おいしいわけでも
なく
せまい店だけど
なぜかいつもみんな集まってた
バカみたいに
飲んでた
あの時の僕は
日焼けして部活に励んでた
今はスーツにネクタイ
マスター覚えてるかな
今時流行らない昔ながらの
蝶ネクタイ
無口にふるえた手で
あれこれ ゆっくりつくってた
はやる心抑えながら
あの頃の僕が重なる
5年ぶりにドアを開けると
この店はちょっと様変わりしてた
若い夫婦がやけに明るく
僕を出迎える
まるで違う空気にのまれて
立ちすくんでしまった
察した二人が
淋しげに微笑み会釈する
僕はネクタイゆるめて
店の面影を探す
時が過ぎるってこういうことかな
何も言えずに
ここに来たくなった理由(わけ)
あれこれ ゆっくり考える
今時流行らない昔ながらの
蝶ネクタイ
無口にふるえた手から
あれこれ ゆっくり教わってた