北行き最終便
仁井谷俊也
アカシアの 花が咲く鋪道(みち)で
つれて行ってと 背中で泣いた奴
羽田発 北行きの最終便
やっぱりおまえが
忘れられなくて
搭乗券(チケット)を握りしめ
迎えにゆくのさ
霧雨に
濡れた首都高速(ハイウェイ)を
急ぐタクシー
おまえに逢いたくて
羽田発 北行きの最終便
夜更けの酒場で ひとり飲む時も
身勝手なサヨナラを
悔やんでいたのさ
アカシアの 花に包まれて
微笑(わら)うおまえが
今でも瞼(め)に浮かぶ
羽田発 北行きの最終便
ジェットの窓から
覗(のぞ)く故郷(まち)あかり
倖せにしたいのさ
待ってておくれよ