大きな玉ねぎの下で
Sanpuraza Nakano, Youichi Shimada
ペンフレンドの二人の恋は
つのるほどに 悲しくなるのが宿命
また青いインクが
涙でにじむ せつなく
若すぎるから 遠すぎるから
会えないから
会いたくなるのは必然
貯金箱こわして
君に送ったチケット
定期入れの中のフォトグラフ
笑顔は動かないけど
あの大きな玉ねぎの下で
初めて君と会える
九段下の駅をおりて 坂道を
人の流れ 追い越して行けば
黄昏時 雲は赤く焼け落ちて
屋根の上に光る玉ねぎ
ペンフレンドの二人の恋は
言葉だけが たのみの綱だね
何度もロビーに出てみたよ
君の姿を捜して
アナウンスの声に はじかれて
興奮が波のように 広がるから
君がいないから 僕だけ 淋しくて
君の返事 読みかえして 席をたつ
そんなことをただ繰りかえして
時計だけが何もいわず 回るのさ
君のための 席がつめたい
アンコールの拍手の中 飛び出した
僕は一人 涙をうかべて
千鳥が淵 月の水面 振り向けば
澄んだ空に光る玉ねぎ
九段下の駅へ向かう人の波
僕は一人 涙をうかべて
千鳥が淵 月の水面 振り向けば
澄んだ空に光る玉ねぎ