一枝拝借 どこに生けるあてもなく
これっぽっちもお呼びでない春雨が
これっぽっちもお呼びでないのは
人ばかり
当の桜はにじんだ昼下がりの片隅
赤い唇の端をにやりと
めくりあげている
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一枝拝借どこに生けるあてもなく
わたしとあなたのそれにしても
冬と春のそれにしても
必ず連結部分は軋みはじめる
いくら油をさしつづけても
必ず連結部分は軋みはじめる
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一度も咲いたことがないくせに
きっと返り咲いてみせるとは
それは何かの手品だろ
もうタネと仕掛けしか
ありませんってか?
これっぽっちもお呼びでない春雨が
これっぽっちもお呼びでないのは
人ばかり
当の桜はにじんだ昼下がりの片隅
赤い唇の端をにやりと
めくりあげている
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一枝拝借どこに生けるあてもなく
一枝拝借どこに生けるあてもなく