風
瞳に風が吹いて 坂道を
ひとりで 下りてみたい気がしてた
愛称(なまえ)で呼べそうな
履き古した靴からは
忘れかけた詩が聞ける
ふりかえると 何もない空なのに
僕だけが むずかしくて
もしもここで 君に逢わないでいたなら
心まで 渇いたろう
涙をあつめてきたハンカチに
迷路の地図ばかりを 描いてきた
それぞれに過した わずかな物語には
なくせない 場面もみてた
なにもかもが ためいきをつく一瞬(とき)に
やさしさを 逃がしている
あきらめれば 泣かなくてすむだろうけど
微笑も消えるはず
遠くふたり みえないほどはなれて
あの夏に生まれてきた
君の髪が綺麗な秘密を教えて
しなやかな ささやきで
瞳に風が吹いて そのときに
誰にも かなえられる夢がある