魂を抱いてくれ
matsumoto takashi
雨粒の中 街翳が回る
微睡む君の睫毛を朝が
綺麗に縁取る
柔な生き方笑ってた俺が
優しい鼓動 時計代わりに
こうして生きてる
シーツの波間へと俺たち漂う小舟
裸のままカップに
珈琲注いだ
魂を抱いてくれ
都会で色褪せた
胸の汚点その爪で
そっとこすり落して
魂を抱いてくれ
自分だけを愛して
生きてきたわがままな俺の
背中を抱いて
原色の夏 砂まみれのキス
熱さが消えて透明な秋
愛だけ残った
打ちのめされたとき
隣にいるだけでいい
痛みをわけあえたら
それでいいから
魂を抱いてくれ
むき出しの両手で
かっこなどつけてない
真実のこの俺を
魂を抱いてくれ
心を読んでくれ
話せない大切な言葉
瞳を覗いて
静かにこのまま