ハートの落書き
Yumi Matsutoya
校庭のむこうから きみの打つ球音が
補習の窓に きこえていた夏
答えを探して でも見つけられなくて
とり残された 教室の隅の
机の傷あと ハートの落書き
最前線には 届かなかったけど
それでも全てが きらきらしていた
あの日それぞれの 夢の途中
スパイクとスライドで 消えかかった白線を
きみは未来へ 走って行った
私はノートを もう とることもなく
日々の生活に 紛れていった
なぜか思い出す 夕焼けの匂い
遠い道のりに くじけそうなとき
いつも思い出す あの頃のこと
きみもどれくらい もがいていたか
それでもあんなに きらきらしていた
はるかそれぞれの 夢の途中
ふりむけばきっと きらきらしている
今もそれぞれの 夢の途中