地中海の感傷
Yumi Matsutoya
Barcelona, Barcelona
沖は白く あたたかな霧が降ってた
週末へ急ぐように
島をめぐる夜の船 うるんで消えた
Barcelona そのあとの住所も知らず
たどった坂の街は 輝く蜘蛛の巣
あの時胸焦がした 絵葉書それは
ただ一度送られた 心のしるし
束の間の表情と しぐさのかけら
まぶたの闇の中を ひとときよぎる
失くしても失くしても
たたみ込んで波音が面影運ぶ
Barcelona, Barcelona
塔の上も やわらかな霧が降ってた
気の長い人々が ふっとやりきれず
いつかしら はぐれてた遠く 歩いて歩いて